2012/04/05 - 渋谷で”混ざり合う血”、9年ぶりLa'Mule完全体との”再会”の夜



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4月5日、渋谷REXは、歓喜と悲嘆が交錯した一種異様な雰囲気に包まれていた。2003年を最後に無期限活動休止となり、2010年、2011年と一時的に復活したもののオリジナルメンバーの結集は果たされたなかったLa'Muleの5人が、2003年8月29日以来、9年ぶりに再集結するというのである。しかもそのために用意された舞台は歓喜の復活ステージではなく、解散という容赦ない事実を伴ったステージだったのだから、ファンの心情は複雑であろう。


ご存知の読者も多いと思うが、La'Muleとは20世紀から21世紀にかけてのインディーズヴィジュアル系のシーンを牽引した名古屋のレーベル「Soleil」の筆頭アーティストで、その世界観と楽曲で多くのファンを獲得した、当時のシーンを語るには外せない重要なバンドである。今なおファン達から復活を熱望され続ける彼らの、解散とはいえ9年ぶりのワンマンライブとあって、当時のファンがあの頃に戻って集結した渋谷REXは、ここだけが9年前のあの日からほんの数日しか経っていないような不思議な空間となっていた。


19時20分、ずっとスクリーンに流されていた過去のライブビデオが終了し、場内が暗転すると、客席は歓声と悲鳴に包まれた。「inspire」のPVが投影され、嫌が応にも興奮が高まるオーディエンスに答えるかのようにハイハットがカウントされ、ステージを覆う幕が落とされると同時にライヴはそのまま「inspire」で幕を開けた。


まだ明日のライヴを控えているので詳細な記述は控えるべきかもしれないが、今日の彼らのステージを文章にして残すことはこの空間を共にした人間にしかできないことだと考え、あえて書かせていただこうと思う。ネタバレを嫌う読者には迷惑な話だろうから、そのような方は明日のライヴが終わってから読んでいただきたい。


今日の彼らは、La'Muleといえば誰もが想像するあの血塗れの衣装であった。そこから見ても、彼らの輝かしい歴史を見事に終わらせたいという意識が見てとれた。とはいえ、9年という時間はそう簡単に埋められるものではなく、ライヴの序盤は彼らもオーディエンスも明らかに戸惑いと遠慮が感じられ、どこかぎこちない空間ではあったが。その空気が一変したのは、ライヴも後半に差しかかろうというところでの紺(Vo)のMCからであったと思う。裏話だと前置きして「アルバム「inspire」を発売する際、タイトルをinspireにするかCry in pastにするかで揉め、inspireになった結果血塗れの衣装が生まれた。もしCry in pastであったらこの衣装ではなかった、皆も人生の大切な選択はよく考えて(笑)」と、貴重な話を披露しつつ場を和ませたあと演奏されたのは、彼らのライヴに欠かすことのできない「eccentric Marxist」。見えなくても、届かなくても・・・というコール&レスポンスが印象的なこの曲は、それまでのよそよそしい空気を一変させ、一瞬で9年前に引き戻してくれた。そこから先は攻撃的なナンバーの連発でオーディエンスを熱狂させ、本編ラストの「ask 〜ガラス神経〜」まで一気に駆け抜けた。「ask」を歌いながら、紺は忘れないからな!と叫ぶ。その言葉こそ、偽りのない本心であっただろう。


2度目のアンコールでステージに登場したNAO(G)とSIN(G)は、解散という事実を今だけは忘れたいかのように物販の宣伝をしオーディエンスを笑わせるが、最後に紺がこれまでの感謝の言葉を述べるとメンバーも客席も静まり返った。最後の曲「ナイフ」を演奏した後、一生の思い出にしたいから、と客席をバックに写真を撮るときにはオーディエンスから嗚咽が漏れていたことが、La'Muleを想うファンの気持ちをまさに表していたように思う。


写真撮影後、5人から一言ずつの挨拶があった。口火を切り感謝の言葉を伝えたYOU-YA(Dr)、8年活動して9年休んで解散ってねえ!と、あえておどけて話し始めたものの涙が零れ話せなくなってしまったISUKE(Ba)、一言だけ「ありがとう」を言ったNAO、昨年の赤坂BLITZにいなかったことなど、一番の問題児だったことを後悔はしているが謝らないと言い切ったSIN、最後に心からの感謝の意を表した紺。すべて、形は違えど一人ひとりの感謝の気持ちであった。一瞬違和感を覚えたのは、手をつないでの万歳を呼びかけたYOU-YAを紺が拒否したシーンだったが、これもまだ明日があるという紺の想いなのだろう。そして最後までステージに残り、ありがとうを言ってステージを去ったSINは、本当は一番ファン、そしてメンバーに感謝していたのかもしれない。


ともかく、2時間20分に及んだ全17曲のライヴは、La'Muleが刻んできた歴史を濃縮したアグレッシヴかつ濃密なステージだった。当然明日はこれ以上に激しいステージが展開されるであろう。しかし、ファンは重い気持ちで明日のステージを観に来る必要はない。なぜなら、明日のライヴは”混ざり合った血、そして...継承”と題されており、単に終わらせるためだけのステージではないことは明らかだからだ。継承されるLa'Muleの魂とでも言うべきものは、明日のステージですべてが伝えられるに違いない。残念ながらチケットはすべてSOLD OUTとなっているが、幸運にもチケットをすでに手に入れている方は、何としても見逃さないようにしていただきたい。この9年間の想いを昇華させる素晴らしいステージを目の当たりにすることだろう。


そしてもう一つだけ伝えなければならないことがある。会場で配布されたフライヤーには、紺が在籍しているバンド「NightingaiL」の解散と、La'Mule+NightingaiLと銘打たれたツアーの決行が示されていた。この新たなツアーが何を意味するのか、5月に紺のオフィシャルサイトで発表されるとのことなので、まさに「震えて待ち」たいところだ。


文/livehisの中の人


<La'Mule解散2daysLIVE 「last bloody world」混ざり合う血、そして再会>
4/5(木) 渋谷REX 18:00/19:00
[SET LIST]
01. inspire
02. MIRROR・MIRROR〜鏡よ鏡〜
03. Curse
04. life,life,life
05. 情景ノ都
06. Prism
07. 無秩序のプール
08. 結び目
09. Cry in past
10. eccentric Marxist
11. Plant〜寄生ト束縛〜
12. Sterilization〜自我境界〜
13. ask〜ガラス神経〜

ENCORE I
14. fantasy
15. 溺れた奇形
16. Sweet enemy

ENCORE II
17. ナイフ

<La'Mule解散2daysLIVE 「last bloody world」混ざり合った血、そして…継承>
4/6(金) 渋谷REX 18:00/19:00

<NightingaiL 解散>
4/15(日) 下北沢Mosaic
4/22(日) 渋谷BOXX
4/25(水) 池袋EDGE
4/30(月・祝) 名古屋HOLIDAY
5/1(火) 大阪RUIDO
5/17(木) 仙台HOOK
5/18(金) 新潟CLUB RIVERST
6/3(日) 原宿ASTRO HALL(最終公演)

<La'Mule+NightingaiL= [中毒世界 〜grotesque happy endless〜]>
7/13(金) 池袋EDGE 「首吊り眼前」
8/11(土) 池袋EDGE 「頚動脈手首」
9/16(日) 池袋EDGE 「原色致死量」
10/20(土) 池袋EDGE 「飛降落下者」
11/18(日) 池袋EDGE 「灼熱感意識」
12/xx(×) ××××× 「最後、潰した言葉」

[2012.4.8セットリスト加筆]

※ このレポは増田勇一さん風に書いたものであり、当然ながら増田さん本人の筆ではありません

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