2011年12月19日に発表された
オリコンの2011年アーティストトータルセールスTOP5によれば、AKB48がトータル162億円で嵐を抜き1位になったそうですが、どう考えても嵐よりファンが多いとは思えないので、ちょっと調べてみました。
ファンがどれくらいいるのかの指標といえば、CDなどの売上以外に、ライブの動員がどれくらいかというのもあるはずなので、これを他のランキング上位のアーティストと比較してみました。
2011年のトータルセールスTOP5は、上からAKB48、嵐、EXILE、KARA、少女時代となっています。また、これだけでは母数が少ないので、
2010年のTOP5である嵐、東方神起、AKB48、EXILE、いきものがかり、
2009年のTOP5である嵐、EXILE、東方神起、B'z、ザ・ビートルズも加えます。
このうち2011年のKARA、2010年の東方神起は日本ツアーはしておらず、2009年のビートルズも当然ながらライブなどやっておらず復刻版のみのセールスなので、それ以外で比較してみます。
年 | 歌手 | セールス
(百万円) | 年間動員
(人) | |
2011 | AKB48 | 16,282 | 229,713 | 劇場公演抜き |
320,963 | 劇場公演込み |
2011 | 嵐 | 15,369 | 510,845 | |
2011 | EXILE | 5,603 | 552,067 | |
2011 | 少女時代 | 4,049 | 191,764 | |
2010 | 嵐 | 17,163 | 707,823 | |
2010 | AKB48 | 7,092 | 129,594 | 劇場公演抜き |
220,844 | 劇場公演込み |
2010 | EXILE | 6,015 | 1,177,438 | |
2010 | いきものがかり | 5,618 | 302,434 | |
2009 | 嵐 | 14,461 | 657,484 | |
2009 | EXILE | 12,932 | 465,890 | |
2009 | 東方神起 | 6,895 | 328,854 | |
2009 | B'z | 5,374 | 510,619 | |
動員数は、Wikipediaに掲載されていた各年のライブの会場のキャパを合計したものです。会場のキャパは
コンサート会場座席表に掲載されている数字を使っています。もちろん、真の人気度としては、ガラガラだったのかどうか、ヤフオク等でどれくらい高騰したかなども加味しないと正確なことはいえませんが、それらは検証しようがありませんのでとりあえず各会場ちょうど満員だったものとして比較しています。
なお、AKB48は秋葉原に「AKB劇場」というキャパ250人の専用の劇場があり、ここでほぼ毎日公演を行っています。ただし、AKB劇場には大島優子や前田敦子をはじめとする有名メンバーはほとんど出演しておらず、テレビに出ていない1.5軍以下、あるいは研究生と呼ばれているいわば2軍メンバーの出演がほとんどです。とすると、劇場の動員をAKB48の動員に含めてよいものかどうか疑問があります。たとえばいくら同じ名前を冠しているからといっても、読売ジャイアンツの2軍の試合の観客数を年間観客動員数に含めたらそれはおかしいでしょう。なので、AKB劇場の動員分についてはあり/なしを併記しています。AKB劇場の動員数は、実際には休演日や複数公演日もありますが、とりあえず毎日1公演したものとして250人×365日=91,250人としています。
また、2009年のB'zはSHOWCASEと呼ばれる地方を小規模に回るホールツアーしかやっておらず、これだけを2009年の動員とすると年間動員数がとんでもなく少なくなってしまうので、年明けから始まった2010年のツアーも動員数に入れています。
こうして見てみると、2011年のAKB48の動員は、劇場を入れてもセールスが半分以下の2009年の東方神起と同等、劇場を抜くと2010年のいきものがかりよりも少ないです。こうして比べてみるとやはり不自然なセールスだと言わざるをえないでしょう。
さらにこれをセールスと動員の関係をプロットした図に示してみます。
青のエリアは動員10万人当たりセールス10億円以下、つまりこのエリアのアーティストのライブに来る人がCDなどを購入する額は平均1万円以下ということになります。緑が10万人当たり1万円台、黄色が2万円台、オレンジが3万円台、赤が4万円以上です。
こうしてみると、当然ながらライブの動員とセールスには相関関係があり、平均2万円台のエリアが最も多く、次に1万円台です。自分に当てはめてみても、好きなアーティストに1年に2万円なら突っ込むかな、という気がしますので、だいたい妥当なところだと思います。
なお、2010年のEXILEはこの図のはるか右に飛び出した場所におり、計算すると一人当たり5千円強しか使っていないことになります。これを図に含めようとすると、飛び出たEXILEを除くとほとんどアーティストが図の左半分に寄ってしまい、見た目上ダンゴになってしまってよくわからなくなってしまうため、あえて外しました。
そして、ファンが年に3万円以上購入しているのは誰かと見てみると、2011年の嵐が少し3万円を超えた以外ではすべてAKB48です。2011年のAKB48は特にずば抜けており、劇場公演の動員分を含めても一人当たり5万円、劇場公演分を除くと一人当たり7万円も突っ込んでいることになります。
当然ながら、この図では右下に行くほど広く人気があるといえます。コアなファンは当然全アイテムをそろえるでしょうが、CD1枚しか買っていないような人でもライブに来る=本人たちを生で見たい、と考えるから動員人数あたりの平均単価が引き下げられるわけですから。
そうすると、AKB48の数字はどう考えても異常です。なぜこうなったのか、と考えるとどうしても「AKB商法」を原因に挙げざるをえません。一人が大量に購入するから平均単価が上がるわけで、その結果が一人当たり平均5万円あるいは7万円という数字に表れているわけです。
ということで、2011年のAKB48のセールスは少なくとも幅広い人気に裏打ちされたものではなく、特定の人たちから大量に搾取したことによるものである、と考えるべきと思います。別に売るための手段としては成功してると思いますのでそれはそれでいいんですが、これを受けてオリコンのサイトに掲載された
AKB48のコメント中で高橋みなみが言っていたように『たくさんの方に私たちのCDを手にとっていただいて聴いていただいて、DVDを手にとっていただいて観ていただい』たわけではないだろうなあ、と思いました。
※2011/12/31一部修正