2014/12/17 - バンド名と商標A

 こんにちわ、中の人です。先日のブログでバンド名と商標について書いて、「後半に続く」と書きましたが、2回で終わらなそうなので今日は後半ではないです。すいません。


 最初に注意書きなど。


 商標はIPDL 特許電子図書館というサイトで調べられます。簡易的な調べ方は上の関連エントリの「バンド名と商標(補足) 商標の(超簡単な)調べ方」のほうをご覧ください。
 ただし、これはあくまで簡易的なものです。お仕事で調べる方はちゃんと弁理士に頼んでください。
 それと、以下では商標公報のコピーを載せてありますが、全部1ページ目だけです。全部見たい方は上のIPDLのリンクで探してみてください。


 ではさっそく続きです。まずはヴィジュアル系といえばこのバンド。

MALICE MIZER


 90年代ヴィジュアル系四天王の一角を担った有名バンドです。権利もしっかりとってあります。



登録番号4342557号「MALICE MIZER」



 権利範囲は広くとってあるものの、各区分1つ2つずつなのでわかりやすいです。「化粧品」や「かばん類」などもとってあるのはさすがMana様ですね。権利者は株式会社ミディネット、マリスの元事務所ですよね。


 調べてみたら、ミディネットは「Moi-meme-Moitie」も商標登録していましたが、「Moi dix Mois」はとってないようでした。商標とるほどでないと判断したのか、一回とったけどもう放棄したのかはわかりませんが。

Gackt


 マリスを調べたら、ガクトも調べないわけにはいきませんよね。Gacktはもうソロ活動のほうが長いしそっちのが売れてるので、昔マリスミゼルだったことを知らない人もたくさんいそうです。



登録番号5346971号「GACKT」



 これはサービス系で商標とってますね。しかし白抜きの画像でとるとは、ただの文字列「Gackt」ではダメだったんでしょうか。弁理士さんならその辺の判断がわかるのかもしれませんが、僕はわかりません。


 権利者の「株式会社喜楽龍」ってどこの会社ですかね。ググってもよくわかりません。まあ、これは出願時点の権利者で、今の権利者は所属事務所の「株式会社ゴーディーホールディングス」だそうです。ちょっと前にGacktの脱税疑惑で査察がはいったところですね。

PENICILLIN


 同じく90年代に「ロマンス」が大ヒットしたペニシリン。ちゃんと商標とってたんですね。



登録番号4328762号「PENICILLIN」



 これの権利者は「株式会社ティアーズ音楽事務所」ってなってますが、Wikipediaの項目では会社名は「株式会社ティアーズ」ってなってました。社名変えたんですかね?

the GazettE


 ちょっと時代を下って、ガゼットです。これはすごいですよ。



登録番号4900702号「大日本異端芸者「ガゼット」」



 で、でたーwww大日本異端芸者www そういえば初期のころはこんな名前で活動してましたね。まさかこの名称で商標とってるとは思いませんでした。
 ちなみに「ガゼット(4875647)」や「the GazettE(5163844、5286435)」もちゃんととってありました。英表記のほうはちゃんといまのロゴになってますね。しっかりしてます。

アリス九號.


 ほかに特徴的な名前のバンドは・・・って考えててふと浮かんだアリスナインも調べてみたらとられてました。



登録番号5189920号「アリス九號.」



 ほかのバンドと比べると知名度では劣るのに(失礼)、しっかりとってあるってすごいな・・・と思ってよくよく見てみたら、権利者が上のガゼットと同じく「有限会社ピーエスカンパニー」となっています。同じ事務所なんですね。調べてみたら今のV系業界では有力事務所のようですね・・・最近の業界のことは全然知りませんでした。


 ということは、この事務所のほかの所属バンドも商標とってるのかなと思って権利者で調べてみたら・・・



「有限会社ピーエスカンパニー」の出願状況



 すごい!これはすごい!所属バンドをごっそりとってあります。雅やKaggra,などのベテランだけでなく若手までおさえてあるのはすごいです。所属したらまず権利確保という方針なんでしょうか。


 まあ、権利化されていようがいまいが、よそのバンド名をパクって活動するまともなバンドや企業があるとは思えないので、これで意味があるのはライブ会場の前で店出してるバッタモノのグッズ屋対策くらいでしょうか。
 商標権侵害で訴えることができれば(ああいう人たちはナニな人たちが多いので、あくまで「できれば」という前提ですが)商標法38条で損害額の推定ができるので、賠償請求しやすいというメリットがありますからね。

 しかしそうだとすると、上のアリスナインなんかはライブ活動しか想定してない商標の取り方なので意味ないですよね。ガゼットとかは「うちわ」や「タオル」なんかでもとってるので有効ですが、たとえばアリスナインじゃないバンドが「アリス九號.」の名前でライブをやるということはまず考えられないので、こんな指定区分でどこまで意味があるのか疑問です。


 ところでWikiみてたら、アリスナインは2014年8月で事務所やめたみたいですが、まだ新事務所は決まってないんですかね。事務所決まったら権利も移さないと(使用権許諾という手もありますが、自分たちのバンド名を使うのに他人から許諾受けるってのもねえ)、新しい事務所で同じバンド名使えないですよ。まあ、その辺はちゃんとやるんでしょうけども。



 とまあ、いろいろ見てきましたがなかなか面白いです。もうちょっと調べたネタがありますので、また次回に続きます。