こんにちわ。中の人@livehisです。
今年の頭の発表からV系界隈の期待を一身に集めていたPIERROT×DIR EN GREYのイベント「ANDROGYNOS」の2日目に行ってきました。
組み合わせでわかる通り、2000年代前半にバンギャだった層をターゲットに絞り込んだとんでもないイベントです。僕ももちろんその層ドンピシャですので、これは行かないわけにはいかないところです。
17時の定刻ほぼぴったりの開演で、先攻はPIERROT。1日目は副題が「a view of the Megiddo」でDIRが先行だったそうなので、2日目「a view of the Acro」では先攻後攻が入れ替わりということですね。
この公演のために作られたOPムービー(「ANDROGYNOS」と「PIERROT」のワードが散りばめられた映像だったので、おそらくそう)で会場のテンションが一気に上がったところで、初っ端いきなり「MAD SKY」で意表を突く開幕。でも僕も含め、イントロのベースで即座に臨戦態勢をとれるところ、さすがに客も心得ています。
しかもキリトは最盛期のPIERROTを思い出さずにはいられない目に十字のメイク、これはあの時代に少しでもV系を通った人なら分からないはずはないPIERROTのイメージそのものです。
そしてイントロドンで体が勝手に反応する「Adolf」から「ENEMY」へと、ライブ定番曲の連投でもう客席はえらいことになっています。「ENEMY」の頭では特効も爆発するし、逆にこれがワンマンでないことが不思議なくらいのPIERROT一色の空気です。
最初のMCでも「戦争の準備はできてますかー!!」「ピエラーちゃんたち覚悟できてますかー!!」と煽り立て、「そして・・・」とタメて客席の笑いを誘いつつ「虜ちゃんたち覚悟できてますかー!!」と懐かしいワード。今が2017年ということが不思議なくらいです。
途中「鬼と桜」で1番から盛大に歌詞を間違え、ところどころで崩れ落ちるバンギャも発生させつつ、後半のMCではお約束の「キチガイ」も飛び出して、完全にPIERROTワンマンの空気から「CREATURE」に突入。途中銀テープなんかも打ちながらそのままラストの「蜘蛛の意図」まで全く会場の熱を冷まさず、70分(たぶん)の持ち時間をパーフェクトに使い切ったのでありました。
この後キリトが喋っていたようですが、最後のほうでお腹が痛くなっていた僕は「蜘蛛の意図」が終わってライブ終了の雰囲気になったところでトイレに駆け込んだため、話の内容は聞けていません。残念です。
転換が30分くらいあって、後攻はDIR EN GREY。PIERROT同様オリジナルのムービーで開幕ですが、こちらもさっきのPIERROTとはまた違うカッコいい映像に脱帽です。さすが普段から映像をうまく使ったライブをするDIR、この辺のクオリティは完璧ですね。
DIRもまたワンマンと同様、まったく客に媚びないステージングで狂いっぷりを見せつけていましたが、やはりハイライトは「アクロの丘」です。風の音のSEがかかってDieがアコギを持ってくれば、ライブタイトル「a View of the Acro」というフリがあった以上、誰がどう見てもアクロです。どうやら前日のPIERROTはライブタイトルにもかかわらず「メギドの丘」をやらなかったらしく、その情報を知っている人は『アクロやらないかも?』と思っていたのか、イントロのギター一発で客席の歓声はこの日一番でした。
しかも、続けて「VINUSHKA」という全くイベント向きでない重くて長い曲を投入してくるあたりさすがです。これもイントロでの客の驚きの声が上がりましたが、普通これは予想しないです。この大会場の中心で『ここが真実だ!!』を叫ぶ京のシルエットは一種異様なものがあります。
ラスト「激しさと、この胸の中で絡みついた灼熱の闇」の直前に客席を煽るまで一切MCがないといういつもの京でしたが、こちらもワンマンと変わらない70分はまるで嵐のようでした。そもそもDIRはワンマンでも本編が90分もないことが多いので、この持ち時間で13曲やるとワンマンと本当に変わりません。
アンコはDIRのみで登場、昨日はPIERROTだったようなのでこれも交代(というか後攻が担当)ですね。1曲目はわりと定番感のある「THE FINAL」でしたが、事件はそのあと起こりました。
Twitterなどでは速報が飛び交い大事件のようになっていますが、京が珍しく長々と(それでも普通のアーティストに比べれば短いですが)喋っただけでなく「ピエ・・・ラーさん?(笑)たち・・・DIR EN GREYです」という笑いながらの挨拶に、ピエロではなくDIRサイドが崩れ落ちる大惨事が発生しました。さらに「一つ言いたいんやけど・・・丘戦争って何?」と、煽りでも挨拶でもない言葉を発する京は近年ほぼ見ることがなく、おそらくこれを見ただけでもDIR側は大満足だったでしょう。
そのままラストの「残」になだれ込み、たぶんオリジナルの「残-ZAN-」しか知らないピエロサイドは戸惑ったかもしれません(イントロとサビはオリジナルの雰囲気が残っているから曲は分かったかもしれないけど、全体的に何か違う・・・)が、ほぼほぼ客席全体がヘドバンの嵐。もう何年振りか分からない特効(細かい銀テープが舞い落ちる演出)にもDIRファンは熱狂し、数日は首が動かなくなりそうなフィナーレを飾ってくれました。
最後に感想ですが、ライブ直後にTwitterにも書いたんですが、PIERROTはそれなりにみんな楽しんでいたと思いますが、DIRはPIERROTに比べると明らかに着席率が高かったと思います。自分の周りだけというわけではなく、会場ぐるっと見渡しても、スタンド席とか結構座っていたのでおそらく全体的にそうだったと思います。
これは、PIERROTが好きだったバンギャは「同時代のDir en grey」、つまりMACABREから鬼葬、せいぜいVULGARあたりまでのDirが見たかったのであって、「いまのDIR EN GREY」にはあまり興味ない、というか全然聴いてなかったと思うんですよね。
だから「アクロの丘」とせいぜい「audience KILLER LOOP」くらいしかわからなかっただろうし、「残」も(あれ?なんか違う・・・)ってなったと思います。
他の曲はもはやV系要素は皆無だし初見でノるのはかなり難しい曲(フリがあるわけでもないですしね(笑))ばかりで、それじゃあ座っちゃいますよね、という気がします。
そういう観点でセトリに1つだけ注文をつけるとすると、DIRのラストは「残」ではなく「羅刹国」でよかったんじゃないか、と思いました。あれも再構築ですが、かなり原型をとどめているので、おそらく2000年頃にディルとピエロを両方聴きこんでいたファンなら反応できたと思います。
というか、ライブ中に『ラストは残と羅刹国を連投すればたぶんみんな分かるしばっちりだな』と思いながら見ていたので、結局羅刹国がなくてちょっとがっかりでした。
一方でPIERROTは、コテコテなのが逆に楽しいです。僕は当時はPIERROTよりもDir en greyにハマっていた側でしたが、それでもやっぱりPIERROTは楽しい。なんといっても踊れる!ほとんど聴いてきてないのに体が自然に動く不思議!
2014年の再結成のときもそうでしたが、10年以上前の曲ですし、僕はそこまでガチのピエラーではなかったのでライブも舐める程度にしか行っていないにもかかわらず「Adolf」「HAKEN KREUZ」の動きが自然に出てしまうのは恐ろしいことです(でも、細かいところはいまいち自信がなく、「このフリ3回で終わりだっけ?4回目もあったっけ?」みたいになるところもありましたが・・・)
もうDIRのメンバーからは絶対出てこない「虜」なんていう言葉がさらっと出てきて全然OKなのは、やはりPIERROTだからだと思います。PIERROTが活動していた当時はそうだったので、今日はそれで問題ないんです。はずです。
あとちょっと真面目な話ですが、この年になっていろいろ知ってきたからかもしれないんですけど、PIERROTの曲を承知して来ている客ならともかく、そうでない人に「HAKEN KREUZ」はやばいんじゃないかと思いました。しかもDIRなんてヨーロッパのファンも多いのに、何も知らずに見に来て、歌詞は聞き取れなくても(多少アレンジされているとはいえ)鍵十字がデカデカと映る演出を見てどう思うだろう、とちょっと心配になりました。演出だから、で済む話なのかなあと。
さて、そんな感じで「うおおおピエロとディルの対バンだあああ!」と2000年頃に使っていたステッカーべたべたの四角いカバンを引っ張り出して来たような方には若干肩透かし(主にDIRについて)だったんじゃないかな、というライブでした。もちろん当時V系を一通り通ってきて、今でもDIRを追い続けているというファンには全く問題ない超楽しいライブだったと思います。
そんなライブのセットリストはこちらです。
最後に、上のほうでもちょっと貼りましたが、メンバーの楽器がずらりと展示されていたので写真貼っておきますね。
左から潤、アイジ、アイジ
左からアイジ(上と同じ)、薫
左から薫、Die、Die
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